episode03

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今日は結婚式の当日。窓辺に近づき、澄んだ陽光に包まれた街を見つめる。まだ新しい人生が始まることに実感がわかない。母からの電話。なんだか私よりあわてている。「心配しないで。大丈夫だよ。」式場へゆく身支度をしながら、心配性な母を微笑ましく思う。
結婚式場に迎い、ブライズルームの扉を開くと、ウェディングドレスが掛かっている。どうやら化粧台にはギフトボックスと手紙が置いてある。私宛のようだ。便箋を開くと、見慣れた母の筆跡で祝辞が書かれていた。箱の中にはいつも母の化粧台に置いてあったリポソーム。私が隠れて使っていたのをきっと知っていたんだね。
化粧前にリポソームを丁寧につけてみる。軽やかなタッチでみずみずしくなじみ、しっかり潤う。幼いころの母と過ごした日々の記憶がよみがえる。
満面の笑みでバージンロードを歩きだす。新しいステージへと。