episode02

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祖国から遠く離れた日本の旅館で働くことを決意してから、だいぶ月日がたつ。広い館内の掃除に、料理の配膳に、ひとつひとつの動作に心をこめながら忙しく動き回る日々。失敗もたくさんあったけれど、近頃は余裕をもって仕事ができるようになってきていた。
ある日、くたくたになって休憩室の襖を開けると、そこには素敵なお着物と風呂敷が置いてあった。女将からの手紙も添えてあった。そこには労いの言葉と、私を仲居として認める旨が書かれていた。女将の厳しさと思いやり、旅館へのあふれる愛を感じ、私の気持ちはいっぱいになって涙ぐんだ。風呂敷にはリポソームが包まれていた。以前、女将が使っていたことを思い出す。
リポソームを丁寧につけてみた。軽やかなタッチでみずみずしくなじみ、しっかり潤う。はじめてこの旅館を訪れたときのこと、様々な女将との記憶がよみがえる。
仲居として、私は今日も、お客様を迎える。